Mass Communication

自分でやればもっと楽しい。手品も、ダンスも。

 
                     「テレコム」トップインタビュー 私の趣味…近藤幸三

1997.05.01

 高校から大学、サラリーマン時代、そして今に至まで30年間ずっと続けている趣味が手品です。見るだけじゃなく、演じること、広めること、さまざまな角度から手品とかかわって来ました。

 奇術に関する本も 4冊書いてるんですよ。中でも、昭和56年に角川びっくり文庫から上梓した「手品のタネ本」は、誰もが手軽にできる手品のハウトゥとまとめたもの。実はこの本、驚くべきことに香港では海賊版も出てるんですよね。普通なら文句を言うところかもしれませんが、私はありがたいと思いましたね。だって、数ある本の中から私の本を選んでくれたんですから。

 手品は見るのも楽しいけれど、やればもっと楽しくなります。その楽しさをぜひ、よりたくさんの方々に知っていただきたいのです。 私自身、数多くの場で手品を披露し、ずいぶん楽しい思いをさせていただいてきました。ホテルのディナーショーや地域の敬老会などに招かれることもあります。ただね、この20年くらいはほとんど同じネタしかやってないんですよ。というのも私が目指す手品は、落語で言えば桂文楽師匠や古今亭志ん生師匠の世界。オチなんて何十回と聞いてわかっているのに、笑ってしまう。その世界に憧れているんです。

 派手さや奇抜さはなくとも、ご覧になった方が元気が出る手品、楽しくなる手品、ね。大切なのはネタそのものではなくて、いかにエンターテイメントできるか、そのやり方だと思うのです。「その場が誰のためのものなのか」ということを考え、お客様の反応と空気を瞬間的に判断する。だから、ネタは同じでもひとつとして同じ舞台はありません。

 お客様に喜んでいただいて、はじめて。これは仕事も同じではないでしょうか。現在、私どもの会社では、ブライダル関連の印刷物を扱っているのですが、100組のカップルがあれば100通りのニーズがある。それをかなえるのが私たちの仕事。二人のエピソードを盛り込んだ小冊子やオリジナルの招待状・席次表づくりを通して、新郎新婦に心から喜んでいただけるブライダルを提案しています。

 そうした仕事柄、結婚をまじかに控えたカップルとお会いする機会も多く、私自身さまざまなことに気づかされます。我々50代は“モーレツ”と言われた最後の世代。しかし、ふと振り返った時に、一人で走っているというような人生は寂しい。パートナーと同じ楽しみを持つことも、これからの人生をより有意義に生きるのに必要なんじゃないかと。

 私が最近、あえて婦唱夫随で社交ダンスを始めたのもそのため。おかげで、新しい喜びや世界もずいぶん広がりました。手品もそうですが、やっぱり自分でやってみることがなにより大切なんですね。

「テレコムユーザあんてな」 1997年5月号



 

 
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